本人に届く時代に。

読了ツイートをすると本人に届く時代。小説、ノンフィクション、文芸誌の中の1つのエッセイ、書評など…読んだ感想を書くだけでちゃんと見つけてくれ、ここ最近はほとんどの著者、出版社、新聞記者の方からいいねやリツイート、コメント等もらう。本当にありがたいなと思う。短い中に言いたいこと感じたことの本質を詰め込むのは大変なことなのだけど、長い文だと読んでもらえない。出来るだけ作った人に、感想を届けたいし、それをたまたま見かけた人が「こんな人でも読めるなら自分にも読めるかも!」とか「面白そうだから興味持った!」とか何かその本を手に取るきっかけになったらいいなとも思う。

そういえば、20代前半の頃バイトしていたCD屋でよくポップを書いていた。自分が聞いてお気に入りのCDを売りたくて、その音楽の世界観を伝えるコメントだ。YouTubeなんて無い時代、私たちはそういうCD屋の店員の言葉を読んで、「ジャケ買い」ならぬ「コメント買い」なんていうことをしていたのだった。

ある日、お客さんがどっさりと洋楽ロックCDを抱えてレジに現れた。「このコメント誰書いたの?」指差したのはレディオヘッドの2枚目のアルバム『ベンズ』だった。それは私が書いたものに間違いなく、「私です」と言うと、「コメント読んで聞きたくなった」と言ってくれた。他にも何枚も私が書いたコメントの入ったCDを買ってくれた。絶対に損はさせないラインナップだった。だって本当に最高なアルバムにしか熱を投入しなかったから。

その頃は、「○○が好きだったらこれ聞くしかないですよー」とか言ってCDをおすすめできる顧客も付いて、それに、ずっと探していたのに見つけられなかったCDなんかを取り寄せ、販売することができ、お客さんに喜んでもらえたりと、私は大いにやりがいを感じていた。そんな幸せな日々のことを思い出した。そして今。客同士で感想を言い合う時代から、一瞬で本人に届く時代へ。直接リプライなんかで感想を言うのは、私なんかが…とおこがましい気がしてしまい、いつも独り言のつぶやきではあるけれど、それを拾ってくれる作者の方々に本当に感謝したいと思う!

今日も暑かった。コンビニに荷物を出しに行っただけだったけど、その後にシャワーを浴びてキンキンに冷房をかけた部屋に入った時の気持ち良さは最高だった。