ある時、近所のコンビニでのアルバイト募集を見かけた。そこは個人経営のお店で夜中は閉まっていた。コンビニの店内に食事コーナーがオープンしたのでそこでの募集だった。私はラーメンやカレー、丼物等を簡単に調理し運んだ。調理と言っても仕込みは昼間の主婦の人がやってくれていて、ほとんどは温めたり載せるだけのような仕事だった。
私は夕方から夜のシフトで、友達もよく食べに来てくれた。今やれと言われたらとても大変そうに思えるのだが、当時は体力もあったせいか適当すぎるせいか特に忙しかった記憶はない。たまにコンビニの品出しや掃除、レジもやった。書いているととても忙しそうだ。しかしそうでもなかった。当時の自分の感覚が今とは違うのかもしれない。
人間はたぶん見たいものだけ見て生きているのかもしれない。そして一度身につけてしまったものを取り除くことは難しい。あまり経験がなく訳も分からずやっていたことは案外気楽で苦にもならなかったのに、いろんなことを理解してくると耐えられなくなってくる。年をとって楽になることもあるのだと思うけれど、若さゆえによくわかっていないことで見えないものがたくさんあって、それに救われていたこともあるのだろう。
それにしても、今はコンビニにイートインコーナーがあるのが普通になってきたが、20年以上前にこれを始めたオーナー、なかなかすごい。
