あけぼの湯

初めての銭湯や温泉に来ると焦ってしまう。早くサウナに入りたい!そのはやる気持ちを抑えて、髪の毛と体を丁寧に洗う。周辺に泡が残らないように洗い場もきれいにする。
思い残すことなくサウナ室へ、とその前にいつも内風呂に入ってみる。ここの一員になれた気がしたら神聖な気持ちでサウナ室。
匂い、湿気、そしてもちろん温度を感じる。体全体で。
5分砂時計があったので2回落とす。汗はもうダラダラで、いつもの目安の腕を見ると玉の汗粒。
サウナ室を出るとすぐ横が水風呂。

次の人がかぶるように洗面器にもう水が張ってある。これが、ここのルールのようだ。
何だか、サウナー同士の敬意と思いやりを感じ胸が熱くなる。
もちろん私もその桶で水をかぶり、次の人のために水を汲んで定位置に置く。

水風呂は温度計が壊れているのか0度を指している。たぶんそれほど冷たくない。20度超えくらいだろうか。1、2分じっとして、そしてまたはやる気持ちを抑え気味に外気浴へ。
露天風呂は電気風呂も備えていて、ガラス戸を開けたら露天風呂。閉めたら内風呂といった感じ。
私はガラス戸を開けて更に外の細長い小空間へ出る。
夜の曇り空。
背もたれの無い公園のベンチみたいなのが1つ。
何とか背を支えたい、と考えた。
ベンチを少しだけ押して壁にくっつけ、私は背を壁につけ、ベンチで体育触り。
すると目の前に見えるのはステンドグラスみたいな窓。上は空。ステンドグラス。空。秋の東京の空気。府中の夜の風…
はあああああー。これは!

何とも言いがたい。所謂、ととのい。
それを3度。
最後には小雨が降って来た。火照った体に自然のミストである。

今日1日悪夢を見たり、出掛けたくない気分だったり、なんかくすぶっていたけれども、明日からも楽しく生きて行こう。すきなひとたちと共に居よう。
そう思った。

サウナ。この不思議な空間。身も心も裸になれる場所。愛に溢れてる。湯を沸かすほどの、だ。

ここは見落としてたお気に入り。地味だけれど最高に沁みる。また来よう。

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