風呂!風呂!風呂!

 今日は温泉に行こうと思っていた。私の住んでいる街のメインの駅の近くにある温泉だ。この街に引っ越してきて1度も行ったことがない。なぜなら入浴料が高いからだ。2500円もする。はー実家の近くだったら300円くらいで入れるのになぁと田舎者の私は思ってしまう。だけれども、歩いていける場所がここくらいしかない。帰りはバスでも良いとして、、と考えていたのだが、東京は今日は気温が32度。そんな時に温泉に入らなくても…と気持ちが揺らぐ。そして準備するでもなく洗面所に行く。風呂場を覗く。うーん。掃除してピカピカにして入ろうかな。良いことを思いついたものだ。

 私はしっかりと手袋を着用して、お風呂用洗剤、カビキラー、スポンジ、使い古した歯ブラシを用意してせっせと掃除を始めた。これは気持ち良い!どんどん汚れを落としツルツルになっていく。無心に洗っていると訪問ヘルパーをしていたことを思い出していた。真夏にとある利用者さんの家の掃除、トイレ風呂掃除をする。中でも風呂掃除は好きな仕事だった。締め切った一人の空間でいつもと同じ手順で掃除する。利用者さんと話をするのももちろん楽しかったが、風呂掃除は完全一人空間で体は動いているけど休憩時間のような気がした。人それぞれの風呂があり、なんだかそこは台所もそうだけど「家庭」がにじみ出ている気がしてホッとして、お湯、水を使っている自分まですっきりする。このまま風呂に入れたらなぁと想像したものだった。(私はそういえば、夕方に散歩をしていて、料理の匂いがお風呂に入っている匂い、音がすると心が安らぐ)

 掃除が終わったら風呂はホテルの浴室のような清潔な香りがした。少しして、お湯を張ってみる。最近はぬるめの40度に設定している。電気は消して脱衣所の明かりだけにして、リラックス空間を作る。橙色のぼんやりとした灯りだ。くつろぐにちょうどいい。スマホでラジオを流し、脱衣所に置き、浴室のドアを開けてゆっくりとお湯に浸かった。なんだかそれだけでほんのりと幸せな気持ちになれる。ラジオを聞いてくつろぐだけでいつもより長く入っていられた。

 今日は温泉に行かなくても家の風呂掃除をしてのんびりくつろげたので良い日だった。もう少し涼しくなったら午前中から歩いて温泉に行ってみようと思った。ご飯を食べたり、休憩室で本を読んだりもしようと思う。思いっきりくつろごう!今から楽しみだ。