サウナデビュー

 台風一過。東京は36度。Yと13時に駅で待ち合わせて温泉に行く。温泉にはもちろん何度も行ったことはあるけれど、今回の目的はサウナだ。徒歩5分くらいで到着。すでにじっとりと汗。受付を済ませ、早速更衣室へ。まずは普通に温泉に入る。内風呂、そして露天風呂へ。建物が高台にあるせいで露天からは街を一望できる。雨風が過ぎ去った後の気持ちのいい晴れ。ずっと遠くまで見渡せる。米ぬかの一人風呂に入った。木々がさわさわして、風がぬるい。きっと空気がひんやりしていたらもっと気持ちがいいだろうなあと思った。なんだか旅行にでも来ているかのような開放感。

 洗い場に戻り、偵察で5分くらいずつドライサウナ(90度)、塩サウナに入る。ドライですぐに熱されて、塩では湿気が体にまとわりついて息苦しい。しかし思っていたよりも耐えられる!ネットで調べていたように水風呂に入ろうとしたが足までしか無理だった。Yは意を決して肩まで浸かっていた。一旦風呂を出て、専用の衣服に着替え、岩盤浴へ。ここは春夏秋冬4種類の部屋を楽しむことができる。春から冬まで順番に入ることにした。

 春は広い空間にツルツルの丸い小さな石が敷き詰められていてその上にタオルを敷いて寝転ぶ。窓から自然の景色も見え光が差していた。10分。私はYより先に出て夏に向かう。夏は窓がない。薄暗く落ち着いた空間。黒い岩盤に寝転んでいるうちにじわじわと汗が滲んできた。体の面裏、両面を焼き上げるイメージ。少しずつこの温泉施設に取り込まれていくようだった。Yが途中から来る。私は次に進む。

 秋は入り口も小さく部屋も狭い。夏の空間からだんだんとしぼんでいく感じ。でも体は玉のような汗でびっしりだ。ここで眠ったらどうなるんだろう?なんて考えた。

 冬は、クールダウンの部屋。ひんやりして殺風景で何もない。一気に現実世界へと戻る。そして岩盤浴利用者専用の休憩所で寝転んで休んだ。少しするとYもやって来る。

 「いやー。汗出たねー。気持ち良かった〜。」

 大きな窓からは緑の木々と空の青さ。ここはどこなんだ?という気分になる。ふと何か「逃げ切る」ことができるんじゃないだろうかと思う。でも何から逃げるのだろう。

 風呂に戻り、汗を流した後、館内着に着替えてマッサージを受けることにした。Yは足ツボ45分コース。私は足ツボと全身マッサージで45分のコース。Yを担当していたマッサージ師さんは中国人の方で押しながら色々ツボの知識やら体の悪いとこやらを話していた。私の方は日本人で、ほとんど喋らず、しかしなかなか痛く、こっちも声を出さないように堪える。終了後に「これはーだいぶ硬いですねぇ」と言っていた。押されている時はあまりに痛く後悔していたのだが、終わると体がすっきりとした。

 汗をかくと腹が減る。よくサウナ好きな人が書いているのを読むと汗を流した後にがっつりとしたものを食べているのが目につく。それがなぜか分かった気がした。食堂に向かう。とんかつにしようかカツカレーにしようか天丼にしようかと散々悩んで、すき焼き豆腐定食にした。Yは天丼。これがなかなか美味い。「ああやっぱり旅行みたいだねー」と言い合う。

 休憩所で腹を休ませる。(どころか私はソフトクリーム)

 さて、今日の挑戦である。メインのサウナだ。岩盤浴でだいぶ汗はかいたのだけど、挑戦したかったのはサウナだ。3セット(サウナと水風呂)を目標にしていた。まずはドライ、水風呂、塩、水風呂、ドライ、水風呂、ここまでは水風呂は腹まで。それでも2人で叫びながらである。(こんなに騒いで風呂に入っている人はいなかった)今日は完全に浸かるのは無理かなと諦めかけたその時…!!水風呂に入っていたおばさんが「最初はねー。大変だけどね。私も腰が痛かったもんでね、押さえながら入ってたの。でも今じゃ気持ちよくて、腰も治ってしっかり浸かってるんだよー。冬でもこの温度なのよー。まずは、ドライにじっくり10分でも入ることだね。そうしたら水風呂も入れるわよー」と教えてくれた。

 Yと私は再チャレンジでドライサウナに入った。10分とは言われたものの、耐えきれず8分くらいで出ることに。後ろの席にはそのおばさんが座っていて、「うんうん。いいね。最初だもんね」と見守ってくれていた。こんな出会いがあるから余計にサウナも楽しいものだ。

 そして、水風呂へ。腹までつかり、左胸を押さえて一気に沈み込む。おお!入れた!またもやワーキャー言いながら大笑いしながらだったがしっかりと首まで浸かることができた。そして風呂を上がる時もゼイゼイ言っていた。そして、頭はシャキーン!これが「整う」というやつか。初めての体験だった。

 再び休憩室へ。今度は2人とも無言。一気に疲れが放出したのだ。放心だ。毛穴から汗が滴り、老廃物が流れ出て、緩み、そして汗を流して、水風呂でシャキーンと締めるのである。自律神経も整いまくりじゃないですか。

 「帰りたくない…」

 「電車で帰るのだるいよね」「ドア開けたら家の寝室ならいいのに」その言葉から始まった。「今度はさ、サウナ付きのホテルに泊りがけで行かない?」「いいねぇー!!」

 私(たち)のサ活は今日から始まった。。。

 

 (今日は豪遊してしまったけれど、1人でも気軽にぷらっと行ってみようと思う)

 

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